Audacity で Mac のシステム音声を録音する
Mac に Audacity を入れ、録音デバイスのメニューに「ステレオミキサー」のようなものがあるはずだと思って開くと、そこにはマイクしかありません。見つかる Windows 向けの解説はすべて、Mac に存在しない選択肢を前提にしています。
これは不具合でも設定漏れでもありません。macOS の Audacity は単体でコンピュータの再生音を録音できず、Audacity 自身のマニュアルにもそう書かれていて、別のソフトを使うよう案内されています。
Mac でこれができない理由
Audacity は入力デバイスから録音します。OS に一覧を尋ね、選ばれたものから録音するだけです。
Windows では Audacity に WASAPI ループバックホストが同梱されており、これを選ぶと再生デバイスが録音可能な入力として現れます。だからシステム音声がドロップダウン 1 つで済みます。
macOS のオーディオホストは常に Core Audio で、Core Audio が列挙するのは実在の入力デバイスとインストール済みの仮想入力だけです。システム音声は入力ではないため、決して現れません。ステレオミキサーは macOS に対応物のないサウンドカード機能です。
解決策はどの場合も、「入力に見えるがシステム音声を運んでいるもの」を Audacity に与えること、あるいは取り込み段階で Audacity を使わないことです。
方法 1:BlackHole(無料)
BlackHole は無料のオープンソース仮想オーディオドライバで、現在も保守され、Apple Silicon と Intel の両方で動きます。Soundflower の直接の後継です。
- existential.audio から BlackHole をインストールします。
- Spotlight から Audio MIDI 設定を開きます。
- 左下の + から複数出力装置を作成を選びます。
- BlackHole 2ch と実際の出力(内蔵スピーカーやヘッドフォン)の両方にチェックを入れます。
- システム設定 > サウンドで、その複数出力装置を出力に設定します。
- Audacity の録音デバイスを BlackHole 2ch、チャンネル数を 2(ステレオ)にします。
- 録音を押し、音声を再生します。
手順 3 と 4 を飛ばすとスピーカーが無音になります。すべての音が BlackHole に流れ、他のどこにも行かないからです。「BlackHole が動かない」という投稿のほとんどはこの見落としです。
終わったらシステム出力をスピーカーに戻してください。戻さないと、Mac はいつまでも複数出力装置を使い続けます。
実際の制約が 1 つあります。BlackHole はすべてを混ぜて取り込みます。通知も、Slack も、開いたままの YouTube タブも録音に入ります。仮想出力デバイスが見るのは最終ミックスだけだからです。
方法 2:先に録音し、Audacity で編集する($14.99)
Audacity を開いた理由が取り込みではなく編集なら、専用アプリで録音してからファイルを開くほうが簡単です。
Soundshine Record は macOS 14.4 で追加された Core Audio のプロセスタップを使い、アプリの音声を直接読み取ります。macOS には何もインストールされず、管理者パスワードも再起動も不要です。
- Soundshine Record を開き、録音の許可を一度だけ与えます。
- 音源を選びます。すべてのシステム音声か、アプリを名前で個別に選べば Slack の通知は入りません。声も要るならマイクを足します。
- 編集用途なので形式は WAV か AIFF にします。
- 録音します。
~/Music/SoundshineRecordのファイルを Audacity で開きます。
わざわざこうする理由は、アプリ単位の取り込みと音源ごとの独立したレベル調整で、どちらも仮想ドライバには用意できません。この後で編集して書き出すので、AAC ではなく WAV か AIFF にしておくと、圧縮による劣化が積み上がりません。
macOS 15 以降が必要です。買い切り $14.99 で、30 秒ごとにチャイムが入る全機能トライアルがあります。
方法 3:Loopback($99)や Audio Hijack($69)
Rogue Amoeba の製品はこの分野のプロ向けです。Loopback は任意のアプリと入力の組み合わせから仮想デバイスを作り、それが Audacity のデバイス一覧に現れます。Audio Hijack は視覚的な信号チェーンで直接録音します。
どちらも優秀ですが、ブラウザのタブを Audacity に入れるだけなら、ほとんどの人には過剰です。複雑なルーティングを日常的に組むなら価値があります。
使ってはいけないもの
Soundflower。 古い解説はどれもこれを勧めます。2014 年以降更新されておらず、Apple Silicon 版はなく、最近の macOS では復旧モードでセキュリティポリシーを下げないと読み込まれないカーネル拡張に依存しています。Soundflower の代替を参照してください。
物理的なループバックケーブル。 ヘッドフォン出力からライン入力に 3.5mm ケーブルを回す方法が提案されることがありますが、最近の Mac の多くにライン入力はなく、しかも音声をアナログに変換して戻すため、意味のないノイズが加わります。
Audacity 側で正しくしておく設定
音が届き始めたら、いくつか設定を確認しておくと録り直しを防げます。
左下のプロジェクトレートを 48000 Hz にして macOS に合わせます。ずれていると Audacity がリサンプリングし、避けられる劣化が生じます。
チャンネルは 2(ステレオ) にします。ステレオ音源をモノラルで録ると分離を取り戻せません。
長い収録の前にレベルを確認します。いちばん大きい部分を再生してメーターを見て、ピークが -6 dB 前後に来るようにします。0 に触れるとクリップし、編集では直りません。
オーディオ設定のソフトウェア再生をオフにします。仮想ドライバが経路にあるとフィードバックループになります。
まとめ
無料で、一度の設定作業を厭わないなら:複数出力装置を伴う BlackHole。
アプリ単位で取り込みたい、あるいは Audacity は最初から編集用だったなら:Soundshine Record で録音し、そのファイルを Audacity で開く。
複雑なルーティングを日常的に組むなら:Loopback か Audio Hijack。
より広い比較は Mac で内部音声を録音する方法にあります。
1 つのファイルにまとめて録音する
Soundshine Record はシステム音声全体、または選んだアプリだけを、マイクと合わせて録音します。音源ごとに音量を調整でき、仮想ドライバのインストールも不要です。